一体いつになったら、あいつの目は俺の方を向くようになるんだ。
心を後回しにして身体を手に入れてしまったばっかりに、日を追うごとにその焦燥はどんどん大きくなっていく。
自分がこんなに貪欲な人間だとは思わなかった。
全てを手に入れないと気がすまないと思うほど、俺はエリカにのめり込んでいた。
「―――またか」
自宅マンションのポストに入っている宛先のない白い封筒を見て、俺はため息と共に肩を落とす。
中に入っているのは、全部俺の写真だった。
運転をしているものから、外で昼食をとっているもの、中には休日にコンビニに立ち寄っている俺の姿まである。
メールだけならまだしも、ここまでくると犯罪だ。
全部隠し撮りされたものだとわかるそれを、俺は乱雑に家の中のダンボールに投げ捨てていた。
こんなものが俺のもとへ送りつけられるようになってから、もう一ヶ月以上が経過している。
最初はただの悪戯だと思って放っておいたが、俺宛の郵便物も抜き取られて気が付くと、そろそろ本気で対処しなければいけないと自分の中で警鐘が鳴った。
証拠品は捨てられないから、どんどん家の中に溜まっていく。
…ただでさえ、脆い関係なんだ。
こんな現状をエリカには知られたら、あいつは気味悪がって俺から離れて行ってしまうかもしれない。
相手が俺の家を知っている以上、迂闊にここへ連れてくることなんて出来なかった。