「……いっ、」

歯を食いしばった結城の目尻が、赤く変化していく。

でも漏らす声は最小限で、結城は耐えるように固く目を瞑り、初めての痛みを受け入れていた。

繋がりを深めようとすればする程、今まで感じたこともない快楽を感じて腰が抜けそうになる。

余裕なんて全くない。

覚えたてのガキかと自分を揶揄したくなるほど、無我夢中の行為だった。

お互いの荒い息遣いと、ベッドの軋む音だけが、鮮明に俺の耳へと伝わってくる。

結城は俺の顔を見ようともしない。

脳裏に他の男の姿でも思い浮かべているのだろう。

それが腹立たしく感じる反面、まるで無理やり犯しているような状況にひどく興奮を覚えた。

「…リカ」

息を乱しながら掠れる声で呼べば、ずっと伏せられたままだった長いまつげが一瞬だけぴくっと反応する。

「エリカ」

ずっと呼んでみたかった彼女の名前を呼んだ瞬間、丸くて大きい茶色の瞳が、ようやく俺のことを視界に映していた。

「…翔、太」

俺のことなんか、微塵も思ってなくていい。

「…あっ、翔太…っ」

でもせめてこの腕の中にいる時だけは、俺のことだけを見て、感じてほしい。

濡れた頬に唇を寄せて、告げることの出来ない想いを心の中だけで繰り返す。

こんなに手荒く抱くつもりはなかったと、後悔してももう遅い。

激しさを増していく行為の中で、ほんの少しでも痛みが紛れるようにと、俺は結城の細い指に自分の指を絡ませ強く握りしめていた。