「うまくいったの!?」
「うまくいったんですか!?」
二人同時に同じ言葉を叫ばれて、私はそのまま意識が遠のきそうになる。
……なんで知って……まさか翔太?
ぐっと押し黙った私が頬を赤く染めた瞬間、二人は心の底から安堵のため息を吐き出していた。
「もー、こっちはどうなることかと思って心配してたんだから!」
「良かったですねぇ、結城店長ぉ。……昨日はさっそくお泊りですかぁー?」
「でも橘マネージャーの家って東京でしょ? いくら気持ちが通じ合って浮かれたからって、まさか初売り前の日にそんな無理させるわけ……」
にやにやと下世話な話を繰り広げる二人から、私は無言のまま視線を鏡に移していく。
……そのまさかで、下腹部には相当な違和感が残っていて。
たとえあの時仙台帰ってからとお願いしても、翔太が止まることは絶対になかったと思う。
「……嘘? ほんとに? ここで着替えとか化粧してるってことは……あんたまさか、始発で帰ってきたの!?」
「橘マネージャーってクールに見えて、余裕ない上に結構しつこいんですねぇ」
「それは足掛け二年の執念だからでしょ……。私には、絶対真似出来ないし。それでなに? 橘マネージャーのこと東京に置き去りにして来ちゃったわけ?」
「……」
力なく頷く私のことを、二人はニヤニヤしながら見つめてくる。
……だってしょうがないじゃない。連れてくるわけにもいかないし、これからのこと、話し合う時間もなかった。
何も言わずに置いてきてしまったのは不可抗力だし、私が悪いわけじゃない。
……後で連絡さえすれば、……多分……、大丈夫なはず。