年明け二日から始まった初売りには、一年で一番多くのお客様が押し寄せる。

たとえ腰が痛かろうがなんだろうが、強制的に一日中立ちっぱなしで尚且ついつも以上に動き回らなければいけない。

時折無意識に腰をさする私に、美月は福袋をさばきながら意味ありげな視線を送ってくる。

私はその度に今朝の会話を思い出してしまい、穴があったら隠れたい衝動に陥いってしまった。





――とにかく私が今この場にいられるのは、本当に奇跡だと思う。

だって空が白み始めた頃目を覚ました私は、なぜかまだ東京の空の下、翔太の腕の中で宝物のように包まれていたのだから。





「……う、そ……」

眠った記憶なんてないから、おそらく、あのまま気を失ってしまったのだろう。

初売りすっぽかし=店長失格の図式が頭に浮かんだ瞬間、心よりも身体の方が先に動いていた。

疲労感の残る身体で服を着替え、顔だけ洗ってから泥のように眠っている翔太をそのままにマンションを後にする。

始発の新幹線に滑り込み、二時間かけて仙台に到着したのは店が開店する三十分前で。

事務所で猛然と化粧している私のそばに、美月とゆりちゃんがやじうまの如く押し寄せていた。