それに関しては思うところがあるのか、みるみるうちにエリカの表情が曇っていく。

複雑そうな顔で俺の前に向き直ったエリカは、苦しげに言葉を絞り出していた。

「……ご、ごめんなさい」

「まさかとは思うけど、あの日の夜あいつを泊めたりしてないよな?」

「もちろん。寧々が寝たあとお帰りいただきました。……っていうか妹の旦那さんとどうにかなったりしないから!」

「わかんねぇだろ。お前流されやすいし。……だから俺のことも、その場の流れで仕方なく受け入れたんだろうなってとずっと思ってた」

「……え……?」

「所詮俺はあいつの代わりなのかって思ったら、優しくなんか出来なかった。唯一抱いてる時だけ、お前は素直だったから。抱き潰すみたいな酷いやり方しか出来なくて。……昔のことは、悪かったと思ってる」

その時初めて、俺はエリカに本音をぶつけていた。

嫉妬深いのは、間違いなく俺の方で。

……これからもきっと、自由奔放なエリカに振り回されることだろう。

「私、……最初から、翔太に惹かれてたよ。初めてキスした時から……頭の中は翔太のことでいっぱいだった」

こんな最高の告白を受けてしまったら、もう自分への戒めなんて気にする必要もない。

「…我慢した甲斐があったな」

「我慢?」

「お前と気持ちが通じ合うまで、絶対に最後まではしないって決めてた。……俺だって同じ過ちは繰り返したくないから」