自分の口元が、有り得ないくらい緩んでしまう。
この二年間は………本当に、気が遠くなってしまう程長かった。
大切な人を何度も失いかけて、ようやく今、俺はこの腕に取り戻すことが出来たんだ。
「……やっとこれで、俺のものになったな」
耳元で囁いた瞬間、エリカは迷うことなく、俺の胸に飛び込んでくる。
……もう、絶対に逃がさない。
エリカの温もりを受け止めながら、俺は心の中で強くそう誓っていた。
***
「ちょ……待って!……翔太……!」
「なんかお前、物欲しそうな顔してる」
「そんな顔してな……」
近づけた俺の顔を、エリカは本気で抵抗しながら押し返してくる。
思いが通じ合っていることは、ちゃんと確認している。……だからもう、手加減なんてするわけがない。
東京駅からエリカを自分のマンションに連れ帰ったはいいが、俺はなぜか全力でエリカに拒絶されていた。
伸ばした指の先を口に含んで、わざと甘噛みしたり、下で舐ったりを繰り返していく。
「……ひゃんっ……」
思いの外可愛い反応を見せるエリカに息を荒げながら、俺は性急にコトに及ぼうとしていた。
新幹線の最終出発時刻。つまりタイムリミットまで……あと三時間しかない。
指を愛撫している俺のことを、エリカは愉悦で身体を震わせながら、じっと見据えていた。
「ま、待ってやめて。まだ…私に話すこと…たくさんあるでしょ」
「そんなの後でいい」
「よ、くない。もう……私、隠し事はされたくない」