エリカは目にいっぱい涙を溜めながら、情けない表情で俺のことを見つめている。

返事をしないエリカに痺れを切らした俺は、そのぐちゃぐちゃな顔を間近から覗き込んでやった。

「返事は?」

「……だって……」

「大体寧々のことがなくたって、俺は二年前からお前にプロポーズするつもりだったんだぞ」

「……え……?」

エリカが驚くのも無理はない。

二年前の俺は、自分勝手で利己的で、エリカを守りたいと思いながら、結局は傷つけるような行動ばかりとっていた。

大事なものを失ってしまうような過ちは、もう二度と……繰り返したくない。

“そんなこと言うのずるい”と、エリカは泣きながら声をしゃくり上げている。

「どんなお前でも全部受け入れてやる」

「……」

そう言った瞬間、エリカがぱっと顔を上げた。

嘘つきだろうとなんだろうと。……俺はもう二度と、お前のことを離したりしない。

「どうするんだ?結婚するのか、しないのか」

「……する」

「ああ?」

「したいです!どうぞよろしくお願いします!」