二つ並んだプラチナリングは、俺とエリカの永遠の愛の証になる。
「はー……、やられた。お前には、ほんと騙された。さっきの……俺の渾身の覚悟を返せ」
甘いシチュエーションには全くそぐわないセリフを吐きながら、エリカの細い指に指輪を嵌めていた。
「な、なにしてるの?どうしたの……これ」
わけがわからないといった様子のエリカを、俺は黙って見据える。
世界に一つしかないその指輪は、エリカの指のサイズにもちろんぴったりだった。
「世界に一つしかない、他には誰も持ってないようなオーダーメイドの指輪なら、受け取ってくれるんだろ?……これが出来上がるまで、仙台を離れられなかった」
「……違う。あれは……」
別に機嫌を取るために、ブランド物の指輪を贈ろうとしたわけじゃない。
それでも“いらない”と言われたのは、さすがに堪えた。
クリスマスのあの夜、俺に向けて言ったあのセリフを、エリカは後悔してくれているのだろうか。
「いいんだ。……どうせ、婚約指輪の他に結婚指輪も贈るつもりだったんから」
エリカの薬指に収まった指輪を、愛くしむように指でなぞっていく。
俺が指輪を贈ろうと思った女は、世界でただ一人……お前だけ。
「あの……?」
「責任取れよ。俺、もう親に嫁と孫出来るから覚悟しといてって、報告してあるから」
「……!!」
「俺と結婚しろ、エリカ」