はっと息を飲んだエリカの双眸が、大きく見開かれていく。

赤い目尻には、みるみるうちに涙が溜まっていって。

顔をくしゃくしゃにしたエリカは、しゃくり上げながら言葉を紡いでいた。

「わ、私も……翔太に……っ……話さなくちゃいけないこと…、…あるの」

何度も頷きながら、俺はその涙を指で拭ってやる。

もう……覚悟は出来ていた。

気持ちを伝えることが出来たんだから、何を言われても俺は後悔しない。

「……本当は、……寧々はね……、私の子じゃないの」

「……はっ…!?」

一瞬、何を言われたのかわからなかった。

寧々が……エリカの子供じゃ……ない?

あまりの驚きに言葉を失ってしまった俺の顔を、エリカが涙に濡れた瞳で真っ直ぐに見つめてくる。

信じられない告白に、俺は勢い余って、エリカの肩を押さえつけてしまった。

「エリカ、一体何を言って……」

「……言ってなかったけど、私には双子の妹がいて……ひろくんはその旦那さんで、寧々はその二人の子供。……わけあって、今までずっと預かってた」

急にそんな話をされても、理解できるはずがない。

ただただ困惑する俺の瞳から、エリカは申し訳なさそうに視線を地面に落としていた。

「二年前もこの間のクリスマスも……翔太を信じきれなかった私が、全部悪かった。子供がいるって嘘をついた時、幸せだって見せつけたら翔太を見返せると思ったの。そんなくだらない意地のためにたくさん傷つけてしまって……本当に、本当にごめんなさい……!」