元旦で祝日ということもあり、座席はほぼ満席に近い。
俺が昨日席を予約した時点で、一番早くてもお昼すぎの新幹線しか空きがなかった。
早く、エリカに会いたい……。
外の景色を眺めながら、俺はずっと東京にいるあいつに思いを馳せていた。
昨日の睡眠不足がたたってきたのか、次第にまぶたが重くなり始める。
視界が暗転していくのを、止めることが出来ない。
そのまま深く眠り込んでしまった俺は、ポケットの中で鳴り続けていた電話に気づくことはなかった。
定刻通り、新幹線は二時間ほどで東京駅に到着した。
行き交う人の多さを懐かしく思う余裕もある。
改札に向かうエレベーターに乗り込んだところで、俺はマナーモードを解除するためにスマホを取り出していた。
「……え?」
着信履歴を確認した俺は、そこに残っていたエリカの名前の多さに唖然としてしまう。
何で気づかなかったんだと自分自身に向けて舌打ちし、俺はすぐに電話をかけ直していた。
クリスマスの日以来全く連絡をとっていない。
もしかして、何かあったのか……?
焦りを感じた俺は、スマホを持つ手にも自然と力がこもってしまう。
……ダメだ……落ち着け。
なかなか出ないエリカに不安が募り、俺は自分の額を片手で覆っていた。
「……!」
その瞬間、信じられないものが目に入る。
およそ三十メートル先に見えたその後ろ姿に、俺は息を飲んでいた。