翌日奈良橋の両親が謝罪に来たけど、俺はもう一切関与したくないと面会すらしなかった。
あいつはエリカを散々侮辱し、二年前も俺たちのことを別れに追い込んだ張本人。
……許せるはずがない。
自分の犯した罪の重さをちゃんと理解してもらわないと、俺も気が済まなかった。
奈良橋の両親からの伝言を刑事づてに聞いたのは、あれから数日後のこと。
もう一生俺に近づかせないために、精神的に病んでいる奈良橋を実家のある田舎に連れ帰り、そこで療養させるらしい。
そんな話を聞いても、俺の心にはもう何の感情も湧いてこなかった。
もっと早くこうしていたら、エリカのことを傷つけずに済んだのかもしれない。
残ったのは後悔と、懺悔の気持ちだけ。
付き合っていたあの当時、文句一つ言わなかったエリカに俺は甘えすぎていた。
結局奈良橋の愚行に気づかなかったせいで、俺だけでなく、エリカの人生まで狂わせてしまっている。
どんなに悔やんでも、幸せだった日々は戻ってこない。
新しい家族と、新しい人生を歩もうとしているエリカの姿を想像する度、俺は絶望に打ちひしがれていた。