「…はは。お前最高だな」
「でしょ?」
俺の中で、色んな疑問が一気に解けていく。
二年前エリカが俺から離れた本当の理由を、今になって知ってしまった。
エリカが…奈良橋と俺の関係について疑っていたのなら。
俺のとり続けていた行動は、最低だったとしか言い様がない。
他の男と子供を作ってしまう行為に走ったエリカのことを、一方的に責める資格もない。
「新しいワイン、持ってくる」
冷蔵庫の方に向かいながら、俺は奈良橋に気づかれないように、小さくため息をつく。
今更事実を知ったところで、もうどうすることも出来ない。
エリカと俺の未来は、永遠に消失してしまった。
「翔太くん、もうワインはいいから。…ベッド行こ?」
ワインオープナーでコルクを回している俺の腕に、奈良橋の腕が絡み付いてくる。
「ああ…ちょっと待てよ」
「…ねぇ…早くー」
「ブショネ用意しといて正解だった」
「何それ?」
コルクを引き抜いた俺は、ボトルから香った独特の匂いに顔を引きつらせる。
「やっぱりお前みたいなゲスには、腐ったワインがお似合いだろ?」