全く知らない天井を睨みつけながら、俺は一睡もすることなく一晩を明かした。
今俺がいる場所は、自分のマンションの部屋ではなく、駅にほど近いビジネスホテルのシングルルーム。
昨日の夜、俺はどうしても自分の部屋に帰る気にはなれなくて、そのままあてもなく街を彷徨ったあげく、ここにたどり着いた。
クリスマスなのに、部屋が空いていたことは、本当に幸運だったと思う。
しばらくはここを、生活の拠点にするつもりだ。
…どちらにせよ、あの部屋にはもう帰れない。
隣の部屋から聞こえる生活音に反応しながら生活するなんて、どう考えても今の俺にはキツすぎる。
今頃エリカは、あいつと一緒に幸せな朝を迎えているのだろうか。
想像したくないのに、昨日の光景が脳裏に浮かんでくる。
睦み合う二人の声やそれ以外のものがもし聞こえてきたら、俺はもう一生立ち直れないほどのショックを受けるだろう。
硬いベッドの上に身を投げ出したまま、腕で自分の目の辺りを覆う。
エリカとは、もう今までのように、気軽に会ったり出来ない。
自分に突きつけられた悲しい現実に、俺はどんどん打ちのめされていった。