『今日は橘マネージャーに褒められたし、別にいいのー。もう忘れる』



『…私は、…翔太の…なに?』



『この子、私の子供なの。可愛いでしょ?』



『…“翔太”でしょ。それぐらい覚えてる』



『タバコ止めたら、帰ってあげてもいいよ』



『明日…橘マネージャーに、大事な話があるの』



『…寧々はあなたの子供じゃないから』





思い返してみれば、あいつのことを泣かせてばかりだった。


目まぐるしく表情を変えるエリカの事を、ずっとそばで見守っていきたい。


月並みな言葉でしか伝えられなかったけど、俺は本気でそう思ってた。


お前の忘れ方を知っているなら、教えてほしい。


ひどい裏切りを受けたはずなのに、頭から全然出ていかない。


どうすれば思いを消すことが出来るのかなんて、…俺にもわからないんだ。