(…俺の子じゃ…ない…?)
エリカの言葉に相当な衝撃を受けた俺は、目を瞠ったまま言葉を失ったが、すぐに頭(かぶり)を振って顔を上げた。
そんなの…事実なわけがない。
エリカはきっと、意地を張って俺に嘘をついているだけだ。
俺を父親だと認められない理由が、おそらく他に何かあるはず。
「…お前の言いたいことは、それだけか」
大きく息を吐きながら、エリカを諌めるように前を向く。
「期待した俺がバカだったな」
エリカに詰め寄った俺は、そのまま右手の手首を掴みあげ、自分の方にぐいっと引き寄せていた。
「は、離し…」
「離さない」
力を込めながらそう言い放てば、エリカの表情が痛みで歪んでいく。
「離したら、お前また俺の前から居なくなるんだろ」
感情が高ぶって、目の前が赤く染まる。
(あんな思いを経験するのは…二度とゴメンだ…)
「どうすれば、お前はここに戻って来るんだよ…!」
泣きたいのはこっちの方なのに。
目の前のエリカの瞳からは、今にも大粒の涙が零れそうになっていた。