涙声で投げつけられた拒絶の言葉に、頭を思いっきり殴られたような衝撃が走る。

エリカなら俺のプロポーズをきっと受け入れてくれる、…そう思っていたから。

何を言われたのか理解するのに、だいぶ時間がかかってしまった。



「…バカに、しないで」

気づけばエリカの瞳から、大粒の涙がいくつも溢れている。

まるで何かに耐えるように、エリカは自分の身体を強く抱きしめていた。

「ブランド物の指輪やっとけば、…女なら、誰でも言うこと聞くみたいな考え改めた方がいいよ」

そんなわけない。

俺はエリカを幸せにすることしか、最初から考えていない。

そう伝えたいのに、気持ちだけが先急いでしまい、言葉が詰まって出てこなかった。

「エリカ、お前何言って…」

「残念だったね。…もう私の機嫌なんて取る必要ないよ。この際だから、はっきり言っておくけど」

必死で宥めようとしても、エリカの言葉は止まらない。

…嫌な予感がした。

エリカの瞳はもう、全てを諦めたような、悲しい色に満ちていた。



「…寧々はあなたの子供じゃないから」