ベッドの端に腰掛けながら、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを口に含む。
幸せそうに微睡んでいる結城の顎を持ち上げると、俺は口移しでそれを飲ませてやった。
「…ん…っ」
俺の下で僅かに身じろいだ結城の喉元から、こくんと飲み込む音が聞こえてくる。
温かくて吸いつくように柔らかい唇の感触は、癖になりそうなぐらい気持ちがいい。
このまま舌を絡ませ、貪るように味わい尽くせたらどんなに心地がいい気分になれるだろう。
心臓の脈動が、どんどん早くなっていく。
口づける理由を繕うように、俺はペットボトルの水が半分以上なくなるまで、幾度もその行為を繰り返していた。
「…ん…?ふぅっ…」
夢中になりすぎて、我を忘れそうになる。
さすがに意識を取り戻したのか、俺と目を合わせた結城は戸惑いの表情を浮かべていた。
唇の端から零れた水を舐めとると、結城は顔を真っ赤に染めながら、俺のワイシャツをギュッと握りしめてくる。
「んん~…っ!」
悪いけど、今更やめてやれない。
身体の上に完全に覆いかぶさった俺の肩を、結城は宥めるように優しく叩いていた。
「…なんだよ」
仕方なくほぼ唇をくっつけたままの状態で尋ねる。
「あ…あの、私これ…ファースト、キス…なんです、…けど」
結城が辿たどしくそう言った瞬間、俺の頭の中で何かが爆ぜた気がした。