「…しょうちゃん?」
「俺も。寧々が好きだ」
好きなんかじゃ足りない。もう、心の底から愛してる。
顎をつむじにぐりぐりと押しつけると、くすぐったいのか、寧々は大きな笑い声を上げていた。
「…でも寧々のママは、俺のこと嫌いかも知れないな」
寧々を撫でながら、ついそんな事をポツリと呟いてしまう。
自分でも、呆れるくらい嫉妬深いと思う。
俺以外の男がエリカとどうにかなるところなんて、想像するだけで頭がおかしくなりそうだ。
「ママ、すきだよー?」
「…ん?」
「ママも、しょうちゃん、すき!」
「…だといいな」
寧々なりに、落ち込んでいる俺を慰めようとしているのだろうか?
たとえ子供の適当な言葉でも、今の俺にとっては嬉しくて堪らなかった。
「よし寧々!お城作ろう」
「寧々のだよ!」
「わかったわかった」
エリカに言われてからずっと、俺は禁煙を続けることが出来ている。
寧々とこうして過ごす時間が手に入るなら、タバコを止めることなんて楽勝だ。
しばらく寧々の相手をしていたら、あっと言う間に休憩時間は残り五分。
(困ったな…)
「あ、ママっ!」
その時聞こえてきた寧々の声に、俺は反射的に顔を持ち上げていた。