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「いつまで俺を避けるつもりだ」

痺れを切らした俺は、電話口の向こうで固唾を呑んだエリカにそう言い放つ。

『…別に、避けてないけど』

明らかに避けているくせにそう言い張るエリカと俺の会話は、さっきから堂々巡りを繰り返していた。

『話したいことがあるなら、今話せばいいじゃない』

「俺は直接会って、顔見ながら話がしたい。明日は会えるか？」

断られるのを分かっているのに、俺は敢えてエリカを誘う。

明日はお互い休みだけど、間違いなく店に出るつもりなのだろう。

狼狽えているエリカの様子から、俺はそうだと確信した。

『ごめん…明日は忙しいから。会うのは無理』

だけど対して悩みもしないで即返答してきたことに、苛立ちを感じずにはいられない。

「…わかった」

怒りの感情を押し殺しながら、平静を装って返事する。

「結城。…頼むから、勝手にいなくなったりすんなよ」

油断すれば、すぐ俺の前から消えてしまいそうな雰囲気を漂わせるエリカに、思わず本音が溢れてしまう。

「つーか早く機嫌直して帰ってこい。寧々と遊べなくて、俺がどれだけ落ち込んでるかわかってるのか？」

『…ロリコン』

「バーカ。…勝手に言ってろ」

『…タバコ止めたら、帰ってあげてもいいよ』

電話を切る間際に小さな声でそう呟いたエリカの声は、いつまでも俺の耳の中に残っていた。