「わ、私!店の様子が気になって何度も電話したんですぅ…!それで…相沢副店長から橘マネージャーの番号教えてもらってぇ…」
通話を切ろうとしていた手が止まる。
なんで、相沢が…。
「おい。俺にわかるように説明しろ」
「あっ、すみません。私、今更だけど、結城店長にどうしても謝りたくて…。ひどいこと、言ってしまったから…」
白鷺がエリカに言ったことは、俺もあの場で全て聞いている。
涙声に変わっていく白鷺の声を、俺はただ黙って聞いていた。
「もう辞めてやるって思ったのに…お店の事が頭から離れなくて…。私親にだってあんな風に怒られたこと、今までありませんでした。冷静になって考えたら、私のこと真剣に考えてくれたの、結城店長だけだったんだって…後から気づいて…。こんなことお願いするのは、差し出がましいことだってわかってるんですけど…また、お店で働かせてほしいんです」
「……」
結城は白鷺は自分のせいで辞めたと思い、今誰よりも無理してフォローに回っている。
だから相沢は、一番反対しそうな俺に、この判断を委ねてきたのだろう。
「…はぁ…」
「じ、実を言うと私、橘マネージャーの事、本気で好きになりかけてました!だから…その…大事にされてる結城店長に嫉妬してしまって…」
「悪いが…」
「わかってます!私じゃ…結城店長には、絶対適わないです」