エリカの地元が仙台だと聞いた時から、いつの日か二人で見に行ってみたいと思っていた。
「わぁぁ…!キラキラ…!!」
光のイルミネーションが続く通り沿いを走り抜ければ、助手席に座った寧々から大きな歓声が上がる。
黒目がちの大きな瞳に光が反射し、目の奥が煌めいているように見えて、俺は優しく口元を緩めていた。
「…天の川の中にいるみたい」
先程まで黙り込んでいたエリカも、見事な電飾のカーニバルに、感嘆の溜息を漏らしている。
「…結城。俺が最初に言ったこと、まだ冗談だと思ってるか」
俺は前を向いたまま、静かにエリカにそう問いかけていた。
「……え?」
二年前のあの日から、ずっとずっと伝えたかったこの思い。
俺はどうやら、相当諦めが悪いらしい。
「俺は、お前と結婚したいんだ」
もう、他の女なんかいらない。
「……」
流れる沈黙が、恐ろしい程長く感じる。
しばらくすると、後ろから蚊の鳴くような小さな声が聞こえてきた。
「ごめんなさい…」
はっきりとした拒絶の言葉だと頭が理解するのに、おそらく数秒を要した気がする。
「結婚するなら、…ちゃんと自分が心から好きになった人としたいの」
返ってきたエリカの言葉は、簡単に俺の心を打ち砕いていた。