「…いるわけないだろ」

この二年間、エリカのことだけを思ってやってきたのに。

それすら信じてもらえないなんて、辛すぎて息が詰まりそうだった。

…いっそのこと、また、無理やり手に入れてしまおうか。

安心しきって元カレを家に入れるエリカの気持ちが、俺にはもうよくわからない。

エリカの気持ちが俺に向く日なんて、もう一生やって来ない気がする。



「…しょうちゃん?」

不安げな声で俺を見上げた寧々に、俺ははっとして我に返る。

…なに、バカなこと考えてるんだ。

俺は寧々のためにも、ちゃんとした家族になりたい。

エリカのことを心から思っているから。

笑った顔を、俺だけに向けてほしい。

「寧々、お星様見たいか?」

「うんっ。見たいっ!」

「…今からちょっと、寄り道していくから」

後部座席にいるエリカにそう告げて、返事も聞かずに車を発進させる。

どんなに疑われようと、俺は諦めない。

エリカに信じてもらえるなら、何度だってプロポーズしてやる。