それから俺は、以前と比べて頻繁に結城のいる店に出入りするようになった。

予定が詰まって行けない時は、わざわざ休みの日まで使ったほどだ。

自分でもなんでこんなことやってるんだって、呆れてしまいそうになる。

俺が絡むと、面白いほど反応する結城。

数ヶ月経った頃にはある程度気心が知れた仲になっていて、俺は結城に会いに行くのを中々止められなくなっていた。

「橘マネージャー、うちのスタッフみんな悲しんでるわよ~」

「…?」

「貴方最近、結城ちゃんにばっかり構うから」

周りが色々とうるさくなってきたのも、俺は感じ取ってる。

販売員同士がうまくやっていけるように指導するのが俺の仕事なのに、これじゃあ本末転倒だ。

「構うっていうか…」

あいつの姿をすぐに目で追ってしまうのは、もう癖のようなもので。

「橘マネージャーがね…へぇ…ふーん…」

店長に生暖かい視線を向けられて、俺は居心地の悪い気分になる。

初めはぼんやりと霞みがかっていた気持ちが、最近はっきりと具現化してきている。

もう認めざるを得ないところまで、俺は追い詰められていた。




「…お疲れ、様です」

その日はちょうどクリスマスイブで、いつもと明らかに違う結城の様子に俺は激しく狼狽した。

…周りは誰も気づいてないのか?

化粧で誤魔化してはいるが、目が少し腫れぼったい。

何より花が萎れてしまったように、元気がない。

俺には表情も笑顔も全てが無理しているように思える。

「おい!」

こんな結城の様子を見るのは初めてで、俺は思わず彼女を後ろから呼び止めていた。