「まさかお前…寝ぼけて相手も確認せず返信したのか」
「……て、てへ」
適当すぎる結城の対応に、心底怒りがこみ上げてくる。
この一週間連絡が来るのを心のどこかで待ちわびていた自分が、なんだか虚しく思えてきた。
「本社のコールセンターに、お前の名指しで電話が来たみたいだぞ」
「えっ?私なんかやらかした?」
「…俺も詳しくは知らないがお褒めの言葉を頂いたらしい」
「本当!?…やった!」
「これぐらいで調子に乗るなよ。その内クレームの方が増えてくるかもしれないからな」
「…嫌味ばっかり」
「今なんて言った」
「何でもありませーん」
こいつといると本当に調子が狂う。
なんだか呆れを通り越して、笑いがこみ上げてきそうだ。
「どうするんだこれ。いるのか?いらないのか?」
「じゃあここのみんなで頂き…」
「バカ。俺はお前に持ってきたんだよ」
「…え!?」
「毎回手土産持ってくるじゃないからな。今回だけ、特別だ。誰にも言うなよ」
「うわ~…今日雪降るかも」
「お前俺に喧嘩売ってんのか?」
「じゃあ有り難くいただきまーす」
「…調子のいい奴」
マカロンを貰って嬉しそうにしている結城に、俺はゆっくりと目を向ける。
足りなかったものが、埋め尽くされていくような感じだ。
…こいつとこういう風に過ごすのは、やっぱり安らげる気がする。