「良かったの?」 名も知らぬ女は、控え目な言葉とは裏腹に勝ち誇った顔をする。 俺は無言で、煙草に火をつける。 子供じみた賭けなんてするもんじゃない。駆けはいつも負けるから。 あいつが、蒼が、僅かでも感情を見せれば、帰ればなんて事絶対言わない。 最低だ、なんて分かってる。 陰口や、妙な視線を向けられても、凛とした姿勢を崩さないあいつを 傷つけたくて仕方ない俺は、最悪のドS。