それから1ヶ月程が経った頃。
早朝から私の元に、1本の電話が入った。
見たこともない電話番号に、少し戸惑う。
「はい、もしもし。上原です」
『もしもし、未歩?久しぶり!元気だった?』
「……?」
『ちょっとー、もしかして、親友の声も忘れちゃったワケ?』
その言葉にハッとして、私は思わず目を見開いた。
「え、嘘!沙奈!?」
『ピンポーン!正解!』
「ビックリした!だって、登録してるケータイ番号じゃないから誰だろって思って……」
『今、実家に帰ってきてるの。さっき帰ってきたばかりでケータイの充電ないから家電から電話かけさせてもらった』
変わらず元気そうな親友の声に、ホッとする。
彼女は今も、世界を巡っていろんな絵を出展していることを、私はメディアを通して知っていた。
あの有名な画家と知られている内村 沙奈と親友だなんて、誇りとしか言いようがない。