「あんた、好きなやつとかいんの?」



突然、机から顔を上げ私をうつろげな目で睨むように聞いてくる編集長。


今度は恋愛の話か……。



「いませんよ。今は仕事一筋です」



「ふーん、そ。ツッチーの合コン断り続けてんのには、何か理由があんのかと思ってた。でもなんだ。好きなやついねーのか」



「……いませんよ」



「つまんねー人生だな」



つまらない、人生……?



「編集長もいないじゃないですか。人のこと言えませんよ?」


言い返しながら、私もひとくち分のアルコールを口に含む。



「バーカ。あたしがあんたくらいの年の頃は運命の出会いをしたもんさ。
たくさんの出会いがあって、たくさんの別れをして、それでも運命なんだって思える男を探し続けて……」



あー、出た。


編集長のロマンチストモード。



悪酔いしたら止まらないやつだ。