「ぷっは〜〜!うめぇ!」



「へ、編集長……。飲みすぎないように、ほどほどにしてくださいね」



「なに言ってんだよ。これからちょっと間は大賞のことで忙しくなんのに、今飲まなくてどうする〜!」



あー、もう。完全に酔ってるよ、これ。



なによりもの証拠に、編集長の顔が赤いったりゃありゃしない。


きっと明日は二日酔い決定だ。




「それにしてもなぁー、まさか上原が編集者になるとは思わなかったなぁ……。あんたは物語を書き続けるんだと思ってた。いい逸材だと思ったのに……」



今度はなぜか、たそがれるように視線を横目に流している。


今から、本音の吐露祭りが始まる予感がする。




「だって、物語をより素敵に仕上げられるようにお手伝いする仕事に憧れたんですもん」



「……それはあたしがすることで、あんたはこれからも物語を書けばよかったじゃない。
あーあ、もったいないことしたなぁ。あんたをもっと、あたしの手で育ててみたかった」



机に顔をくっつけてうなだれている。



「あたしの手で、輝かせてあげたかった」



「編集長……」



一度は過去最高の累計部数を獲得した人材だからか……。


それとも、本当に私を素質を認めてくれて、想ってくれてるからこその、言葉だろうか……。



なんとなくだが、前者だとは思えなかった。