でも野崎は、それからもここへ通い続けた。



オレのことなんて、放っておいてくれたらいいのに

授業の内容だとか、クラスのことだとか、オレにしてみればどうでもいいことを、毎回伝えに来て。



「今度ね、学校祭に出し物もするんだよ」



ただ黙って聞いてるだけのオレを相手に、飽きもせずにいろんなことを教えてくれてた。


笑ったり、ふざけたり。

できるなら、オレも一緒に笑って話せればよかったんだろうけど

オレの気持ちの中で、なるべく親密にならないようにって、勝手に制限してた部分もあって。



でもだからって、自分からこの場所を手放すこともできなかった。

結局オレと野崎が、誰の視線も気にせずにいられる場所なんて、ここにしかなかったから。