その光景をみて由紀が立ち上がって何か言いたそうな表情をしている。


きっとあいつならそうするに違いない。


迷惑はかけれない、あいつが何かする前にここを出よう。


拓哉は何も言わず、教室をすぐ出て行った。


由紀「なんなのこれ、腹立つんだけど」


自分のすぐ隣に座ってる裕樹に向かって由紀が話しかける。


だが、裕樹は何も言わず前を見たまま、あいつが悪いと言わんばかりだ。


由紀「ねぇ裕樹。いくらなんでも可哀そうじゃんか。」


その時、教師が教室に入ってきて、生徒の出席を取り始める。


教室の席が一つ足りないことも気づいていないのだろう。


こんなのおかしい。


そう何か言い出しそうななった由紀の隣で、裕樹がもうすでに立ち上がっていた。


教師「お、おう。どうした杉田?」


裕樹「あの先生。どうして水澤の席がないのですか?」


その水澤の名前を出した途端に、周りの人間が裕樹を見た。


先生も動揺しているように急に口ごもる。


教師「あのなー杉田。お前まだ」


裕樹「自分はなぜないのか聞いているんです」


教師「もう・・・水澤は学校に来ないだろう」


教師は、言いずらそうに顔を伏せながら言った。