学校が近づくにつれて、同じ制服を着た人が多くなってきた。


あー。


帰りたい。


ものすっごく帰りたい。


そう思っていると、裕樹の友達であると思われるやつが声をかけてくる。


確か、野球部の田代だったけかな?


田代「裕樹、由紀ちゃんおはよう!ん?あれ?そこの人同じ学年?」


俺は深いため息をついた。


全く、いきなりこれだよ。うんざりする。


裕樹「こいつしばらく学校来てなかったやつ。ほら、1年の最初お前と仲良かった水澤だよ」


少し考える表情を見せた田代だったが、そこから発せられる言葉は俺の想像通りだった。


田代「んー。ごめん。あんまり思い出せないな」


裕樹「おいおい。いくらなんでも--」


拓哉「もういいから。早く行くぞ」


祐樹の言葉を遮り、先に進む俺。


誰も俺のことなんて覚えてなんかいない。


もうすぐくぐるであろう校門が視界に入り、また深いため息をつく。