昨日、今日とお世話になりました。
拓斗君がいてくれて本当に助かったよ、ありがとう。1人だったらと思うと……
迷惑かもしれないけれど、拓斗君のこと頼りにしています。
パスタも美味しかったよ。
復活したら是非お礼をさせてね♪
麻里
……っしゃ。無意識にテーブルの下でガッツポーズをしていた。
これは前向きに捕らえてもいいものだよな、きっと。頼りにしているという言葉がグッときた。
これからの関係を期待させるような文字に、俺の心臓は鷲づかみされた。
たった数行の、でも丁寧に紡がれた文字に、心が大きく揺れる。
確信した。俺は求めている。麻里さんに傍に居て欲しいと。
ちゃんと彼女に伝えたいと思った。じわじわと俺の中に入り込んできて、言動がイチイチ俺のツボを突いていて俺の心を掴んで離さない彼女に、この気持ちを伝えたい。
距離が近づいた今、離れてしまうことがないように、好きだと言おう。ただ、怪我を口実に会っているうちはダメだ。口実なんて無くても会える関係になりたい。彼女の怪我が完治して、2人で会う口実がなくなる時に伝えよう。うん、そうだ、そうしよう。……決めた。
自分の中では考えを整理できた。けれど、ちゃんと返信していない事を思い出し、慌てて返信画面を起こして、文字を綴っていく。入力しては削除して、入力しては削除してを繰り返し、何とか文章はまとまった。
メール1つでこんなにも悩んで、バカバカしいくらい。それでも、こんなことに悩んでいることが楽しいと感じている自分もいる。
役に立ったのなら良かったです。
遠慮せずに頼ってくださいね。
頼りにしているという言葉、すごく嬉しかったです。
お礼ですか……期待しています♪
足はまだ無茶しないで下さいね。
拓斗
「……送信っと」
1人呟きながら、送信ボタンをタップした。
こんな形の無い物が、今の俺と麻里さんを繋いでくれる唯一のもの。無事に彼女の元に届きますように。