「お疲れでーす」
少しだけテンションが高いまま俺はスタッフルームへと到着した。俺がここを出て行ったときと比べて、明らかに人が減っている。俺に仕事を押し付けて、先に帰りやがったな、みんな。未だに残っているのは数人だった。
でも、そのお陰で麻里さんに会えたしこの後の約束も出来たんだから、文句は言わないことにする。むしろ感謝する勢いだ。
「そんなに大変な人だったのか?時間かかっていたけど……それにしては、楽しそうだけど」
浮かれた気持ちのまま、自分のデスクに向かうと、俺の後ろにデスクがある池田が話しかけてきた。きっと待ってくれていたんだろう。俺も池田や香坂が急遽の仕事が入ったりすると、ぐだぐだと事務仕事をしながら待っていたりする。
待っていてくれたことは嬉しいが、顔に思っている事が出ていたらしく、楽しそうだと指摘されてしまう結果となった。ヤバイな、努めていつも通りを装っていたつもりだったのにな。
「やっぱり隠せないか……俺、今ご機嫌だから」
「何があったんだよ」
正直に答える俺に、池田も隠そうとせずに好奇心を露わにしている。俺も誰かに聞いて欲しいと思っていたから、調度良い。まぁ、麻里さんと待ち合わせるから手短に話すけど。
「はら、前に話しただろ、3人でご飯食べに行ったときに居た店員さんが隣の部屋だったって。麻里さんっていうんだけど、貸し出しその人だったんだよ」
「凄い、偶然だな。骨折?」
「いや、捻挫だけど骨折はなかったみたい。けど、捻挫も重度みたいでさ松葉杖ないと歩行は厳しそうだったかな。だから、今から一緒に帰ることになった。ってことで、俺は急いでいるから」
ダーっと勢いよく説明して、そそくさと荷物をまとめ始めた。
「……だから、嬉しそうなのか。大山にしては積極的だな。お前がそんな積極的なの初めて見たきがする」
俺だって、こんな1人の人に気持ちを振り回されるというか、心を乱されて、俺を見て欲しくて一生懸命になるのは初めてだと思う。
「だろ?自分でも驚いてるよ」
「折角のチャンスなんだから、しっかり自分売り込んでこいよ。怪我したときなんて、PTは色んな意味で役に立つしな。……待たせてるんだろ?早く行って来いよ」
そう言って、池田は俺の背中をポンと叩いて、励ましてくれた。普段は俺に見せないような、柔らかい笑顔に、本当に応援してくれているんだなって、温かい気持ちになった。
「報告はまた後日するから、じゃあな。明日から俺休みだから、そっちもよろしくな」
「あー、そっちも気にせずにゆっくりしてこいよ。じゃ、お疲れ」
俺もお疲れと告げ、スタッフルームを後にした。
よくよく考えると、今日ここで麻里さんに会えたのは奇跡だけど、運命なんじゃないかって思ってしまう。たまたまうちの病院を受診して、たまたま俺が対応することになって、こんなには偶然が重なり合ってると、そう感じてしまってもおかしくないはずだ。
……折角のチャンスか。よし、見た目だけじゃなくて、ちゃんと俺の事を見てもらえるように、彼女のために俺に出来る事をどんどんやっていこう。その第一歩が、家まで送り届ける事。それから……
この後の行動を考えながら、着替えを済ませ、麻里さんが待ってくれているはずの待合室へと向かった。
少しだけテンションが高いまま俺はスタッフルームへと到着した。俺がここを出て行ったときと比べて、明らかに人が減っている。俺に仕事を押し付けて、先に帰りやがったな、みんな。未だに残っているのは数人だった。
でも、そのお陰で麻里さんに会えたしこの後の約束も出来たんだから、文句は言わないことにする。むしろ感謝する勢いだ。
「そんなに大変な人だったのか?時間かかっていたけど……それにしては、楽しそうだけど」
浮かれた気持ちのまま、自分のデスクに向かうと、俺の後ろにデスクがある池田が話しかけてきた。きっと待ってくれていたんだろう。俺も池田や香坂が急遽の仕事が入ったりすると、ぐだぐだと事務仕事をしながら待っていたりする。
待っていてくれたことは嬉しいが、顔に思っている事が出ていたらしく、楽しそうだと指摘されてしまう結果となった。ヤバイな、努めていつも通りを装っていたつもりだったのにな。
「やっぱり隠せないか……俺、今ご機嫌だから」
「何があったんだよ」
正直に答える俺に、池田も隠そうとせずに好奇心を露わにしている。俺も誰かに聞いて欲しいと思っていたから、調度良い。まぁ、麻里さんと待ち合わせるから手短に話すけど。
「はら、前に話しただろ、3人でご飯食べに行ったときに居た店員さんが隣の部屋だったって。麻里さんっていうんだけど、貸し出しその人だったんだよ」
「凄い、偶然だな。骨折?」
「いや、捻挫だけど骨折はなかったみたい。けど、捻挫も重度みたいでさ松葉杖ないと歩行は厳しそうだったかな。だから、今から一緒に帰ることになった。ってことで、俺は急いでいるから」
ダーっと勢いよく説明して、そそくさと荷物をまとめ始めた。
「……だから、嬉しそうなのか。大山にしては積極的だな。お前がそんな積極的なの初めて見たきがする」
俺だって、こんな1人の人に気持ちを振り回されるというか、心を乱されて、俺を見て欲しくて一生懸命になるのは初めてだと思う。
「だろ?自分でも驚いてるよ」
「折角のチャンスなんだから、しっかり自分売り込んでこいよ。怪我したときなんて、PTは色んな意味で役に立つしな。……待たせてるんだろ?早く行って来いよ」
そう言って、池田は俺の背中をポンと叩いて、励ましてくれた。普段は俺に見せないような、柔らかい笑顔に、本当に応援してくれているんだなって、温かい気持ちになった。
「報告はまた後日するから、じゃあな。明日から俺休みだから、そっちもよろしくな」
「あー、そっちも気にせずにゆっくりしてこいよ。じゃ、お疲れ」
俺もお疲れと告げ、スタッフルームを後にした。
よくよく考えると、今日ここで麻里さんに会えたのは奇跡だけど、運命なんじゃないかって思ってしまう。たまたまうちの病院を受診して、たまたま俺が対応することになって、こんなには偶然が重なり合ってると、そう感じてしまってもおかしくないはずだ。
……折角のチャンスか。よし、見た目だけじゃなくて、ちゃんと俺の事を見てもらえるように、彼女のために俺に出来る事をどんどんやっていこう。その第一歩が、家まで送り届ける事。それから……
この後の行動を考えながら、着替えを済ませ、麻里さんが待ってくれているはずの待合室へと向かった。