「あの時は、ホントに驚いたんだよ俺。でも、今思えばもうあの時に感じてたのかもしれないね?」




うん、まぁ……私もビックリしたけど。
入った瞬間に上半身裸の男がいて変質者扱いされたんだし。
で、あれで何を感じたと……?
私はなんにも全然感じなかったけど。




「……何を?」



「ん?ここ数年一緒にいて芹那はわかんなかった?」



うん、何言ってんだろ……こいつ?
そんな数年も立ってないし。
しかも、プロポーズでしょ?青のプロポーズ超回りくどいんですけど?




「何をかな!!……っ!?」




「これから先の人生も俺は芹那の笑顔を守りたいって思ったよ。だからさ、俺と結婚して……杜川になってよ」





顎にある青の手は私の顔が動かないようにガッチリと掴んで、逆の手が私の頬を優しく撫でるように現れる。




そして、何故か顔を少し横に傾けて近付いてくる。




「……ちょ……っと!!青、ち、近いっ!!」




「……芹那、返事は?」





もう、鼻と鼻が微かに当たるほど顔は近くに来ていた。
こいつは……何?役者なわけ!?




「……嫌って言ったら?」




負けたくない……。
もうすぐそばにある青の目を見ていうと青の唇の端が少し上に上がった。




「……あれ、伝わらなかったかな?なら、もっと……近づけば伝わるかな、ねぇ芹那?」






「……ちょ……ま、待とう!!ち、ちかすぎだよっ!!」


なんか、選択肢間違えた……これ?
押してはいけないスイッチ押した気分なんですけど。




なぜか、目を細めて着々と近付いてくる青の唇。
や、やばいっ!!