「てか、そんなお世辞どうでもいいからさ……さっき話してたあれって何?ちゃんと説明してくれるかな?」
大はしゃぎな両親をよそに私はずっと気掛かりなあれについて問い詰めようとお母さんを見るとお母さんは満面の笑みを浮かべて私を見ていた。
「あれ?あぁ、それは寮のことよ。蘭舞学園はね、寮生活なの」
「……え、それじゃな……っ!!!!」
お父さんが何か言おうと口を開いたと思ったらすごく痛そうに顔を歪めて言葉を止めた。
もちろん、私は何もしてない。
やったのは、お母さんだ。
絶対に何か隠してる……。
「……寮って……荷物は?何も準備してないけど?」
準備も何も今日いきなり明日、転校って言われたから何もできるわけが無いんだけどね。
「それなら平気!ちゃんともう送ってあるから、芹那ちゃんの荷物は」
いや、部屋の物は何一つ無くなってないんですけど……?私の荷物運んだ?
「そうだよ、パパとママが芹那のために新しいもの揃えたし、不十分はないと思うぞ!」
一時的な痛みが治まったのかお父さんは笑顔でそう言う。
嫌、お母さんに選ばせた物は絶対に私の趣味に合わないから不十分だらけな気がするんですけど……。
「そうよ、ちゃんと可愛い物揃えたから安心していいのよ、芹那ちゃん」
もう、今の私にはお母さんの言葉は全部悪魔の囁きのようにしか聞こえてなかった。
「……お父さん、寮以外のあれって?」
もう、お母さんに聞いても無駄だと思ってお父さんに聞くと、お父さんはチラッと隣のお母さんを見てまた私を見て眉を垂らして言った。
「ごめんな、芹那。お父さんからは何も言えない……。でも、まぁ芹那なら大丈夫だと思ってるから!それに、何かあったらお父さんに言ってくれよ?いつでも、お父さんは娘の味方だからな!」
うん、すごくかっこいいこと言ってると思うけど……言ってるそばから言っても娘の味方じゃなくて、自分の妻の味方したよね?
説得力皆無だよ。