「全部説明したんだろ?あれとかあれとかあれとか?」
ん?あれ?
あれって何?
てか、何も説明されてないんだけど!
「……えっ、してないけど?」
「……え?」
「いや、知ろよ!」
お母さんの言葉に驚いた声を出すお父さんと私の声が重なる。
黙って聞いてようと思ったけどお母さんの言葉を聞いて黙っていられずそのまま叫びながらキッチンに入ってすぐに私は後悔した。
「あらまぁまぁ!芹那ちゃん、可愛いわ~!ねぇ、パパ!パパもそう思うでしょ!」
今までに見たことがないほど目を輝かせるお母さんと私を見たまま固まるお父さん。
いや、似合わないのは知ってるけどさ……何か言おうよお父さん。娘は、地味に傷付いてるんですけど。
「…………ホントに、芹那か?」
「そうだけど」
そんなに見られると恥ずかしいんだけどな……。
私を見たまま固まるお父さんはやっと声を発した。
娘の顔を忘れるってどんな父親だよ。
「似合ってるぞ、芹那!さすが、ママの娘だな!ママ、さすが俺らの娘だな!」
「ホントよね、パパ!」
何、この異様な盛り上がり方。
あからさまに似合ってないのにこんなにはしゃげるなんてすごいな、親って。
でも、これが一軒家じゃなくてマンションだったら苦情来てたんだろうな……夜だし。