「もう、どうなっても知らないからね……」
その悪趣味とも言える制服の一式を手に取りキッチンを出て廊下にある階段を上がって二階に行き、右に曲がったとこにある自分の部屋に入って手にあるそれに目を向ける。
「……はぁ……。こんなの似合うわけないんですけど」
普通の女の子なら喜ぶんだろうけどね。
ピンクと赤のチェックのスカートに学校指定らしいワイシャツと白の可愛らしいベストとカーディガンとそして普通のブレザー。
あとは、黒のソックスと赤の大きなリボン。
スカートなんて、何十年ぶりに穿くのかな……。
小さい頃に無理矢理お母さんから着せられて以来かな。
着ていたスウェットを脱いでその罰ゲームとも言える制服を身に纏う。
スカートはスラックスと違ってヒラヒラしててスースーしててすごく違和感しかないんだけど……。
「……似合わな」
部屋にある鏡の前に立ってみると違和感しか感じない私がそこにはいた。
私が……私がズボンじゃなくてスカートなんて女々しいもの穿いてるなんて……吐き気しかしないんだけど。
「……蘭舞学園か……」
まぁ、もう払ったんなら仕方ないか……。
そう思って諦めてその吐き気しかしない姿のまま部屋から出てキッチンに向かうと人の話し声が聞こえてきた。
お父さん帰って来たのかな?
「あれ、芹那は?」
「上で着替えてるわ、新しい制服に」
何故かすごく上機嫌な声を出すお母さんとお父さんの話を廊下で少し聞こうと思い扉を背に寄りかかる。
「芹那は納得したのか。意外だな」
「そうそう、芹那ちゃんも新しい学校楽しみみたいよ」
うん、楽しみになんかしてないね確実に。何、この母親は初っ端から嘘ついてんだか。