「いいから、早く開けてみなさいって」


学校名しか聞いてないけどなんか嫌な学園だってのが、バカでも分かる気がする。だからか、ダンボールを開けようとする手が一切動いていなかった。



「……はぁ……」



ダンボールを開くと中に私が一番嫌う色が見えて一瞬でダンボールの蓋を閉じてしまった。



「……ないって……これは。マジで。お母さん、嫌だ!転校したくない!」



何故か嬉しそうにニコニコと笑っているお母さんをこの時は、悪魔に見えていた。



「だめよ。何の為に頑張って高い金払ったと思ってんのよ!もう、引き返しなんか出来ないわよ!ほら、着てみなさい」



高い金ってそんなの払わなくていいよ!
なんで、払ったの!しかも、頑張ったのは絶対お母さんじゃなくてお父さんだ。
お父さん……ごめんね。



お母さんを一睨みするともう一度ダンボールへ手を伸ばして蓋を開けるとその中から悪趣味っていうか、いじめなのだろうかと思いたいほどの女子制服を取り出す。




「女の子なのにスラックスばっか穿いてる芹那ちゃんにはいいでしょ」




語尾に星が飛びそうなほどの嬉しそうなお母さんの声。
その声すらも悪魔の囁きに聞こえるんですけど。