「俺の気持ちをそんな簡単に決めつけるなや!!辛いんや……他の女じゃアカン……」
私の手を強く握りしめたまま豹が涙を流す。
「それ柊花も同じだよ、豹……だって、柊花俯きながら涙堪えてた。千嘉さんと行く時だって豹を見て助けてって言ってたよ。豹、嫌かもしれないけど香苗さんといて。そうじゃなきゃ柊花救えないよ」
周りには聞こえないように豹の耳元で言う。
あとで青に怒られそうだけどこれは柊花救うためだし!
豹の青と同じくらい広い背中に手を回し子供をあやすように背中を優しく叩く。
「せやけど、柊花は……」
「お金持ちは私たち一般人には言えないことがいっぱいあるんだよ……それに柊花は素直じゃないから。私より長く柊花といる豹はわかるんじゃない?冷静になりなよ、バカ豹」
「……せやな……けどバカは余計や!悪かったな、手痛かったやろ?」
「へーき。それより、香苗さんに返事」
豹から離れると鬼の形相の青が飛んできた。
お、怒られる……。
「芹那ちゃん体に傷つけるなんてあとで豹絞めなきゃな。芹那ちゃんは家に帰ったらたくさんお仕置きしてあげるからね?」
え、笑顔が怖い……。
青から顔を逸らして豹を見ると豹はいつものように笑っていて安心した。
「授業中だけのパートナーやからな!」
「ふふ、面白いわね。いいわ、その条件飲んであげるわ」