「芹那ちゃん、これから覚悟してね?」
「……っ」
青、その顔は反則だと思う。
頬を赤くした青が満面の笑みでそんなことを言うから可愛いと思ってしまったのは内緒。
「ハハハッ、さすが杜川くんですね。でも、まだパートナーを戻すことは許されてませんよ?君のパートナーは葉山さんですからね?君たちにはもう一つペナルティーを付けましょう」
パチパチと手を叩きながら目は笑ってなくて、口は弧を描くように歪んでいる顔で青を見る腹黒王子。
なんか……いつもと違う?
「さぁ、皆さん今日はお開きです。各自部屋に戻っていてください」
腹黒王子の言葉が会場を響き渡るとギャラリーの端にある扉が勢い良く開き少し残念そうな顔をして皆大人しく帰っていく。
しばらくすると私、青、桃也、憂、豹、柊花、琉宇先輩だけになっていた。
「さて、時間もいい感じですし移動しましょうか?あの黒い服について行ってくださいね」
どこに?
皆多分、そう思ってるけど何も言わず従ってるのは腹黒王子がそう言う威圧感を出してるから。
腹黒王子に言われた通り出口のところにいる黒い服の人の方に向かう。
「……杜川くん」
「なに、会長」
出口の所に行っても黒い服が動かなくて後ろを振り返ると腹黒王子が青の耳元に口を寄せて何かを話していた。
「なんや、怖い雰囲気やな……」
「豹でもわかったんだね。あの二人なんかありそうだよね。しかも、原因は……」
「やな」
桃也と豹が私を見て頷く。
な、なに??
「芹那さんがここに来たのは偶然だと思いますか?」
「は?」
「もし、芹那さんがここに来たのも杜川くんのパートナーになったのも偶然じゃなかったら?」
「何が言いたいの……」
「この世に偶然なんか存在しないんですよ?あるのは必然のみ。杜川くんに苦しんでもらうために来てもらったんですよ。私と同じ苦しみを味わってもらうために、ね?」
何を言ってるかは聞こえないけど青の顔がだんだん悲しそうに歪んでいくのがわかった。