「……ハニー?ほら、ここおいで」




「……っ!?」




本当に、桃也は何かのスイッチが入ってしまったらしくさっきの腹黒王子みたいな笑みを浮かべていた。
動かない私の腕を掴み私を抱えるように横向きで自分の膝に座らせていた。




そのせいかすごく距離が近くて必然と心臓の音が早くなっていた。
青とは違う匂いと今更だけど、男の人の力と体。





「……ハニー?それ俺に食べさせてよ、ハニーの手で」





「……はっ……ぃ!?」





怖い、桃也が怖い……。
甲高い悲鳴をあげてる女は桃也がどう見えてんのか知らないけど、顔は笑ってるのにオーラが怖い……。




そうだよね、早く終わりたいよね……。
私も今すぐにでもやめたい……けどさ、さり気なく私の手を握ってるふうに見せて抓らなくても良くない?
地味に痛いし……。




「俺、これがいいかな」





黄色い卵焼きを指さす桃也。
まぁ、結局全部食べなきゃらしいけど……リクエストに答えないと怒られそうだし。




黄色い卵焼きを箸で掴んで桃也の口の前まで持っていったのはいいけど、何故か開かない口。
もう、無理やり突っ込んでやろうか……。






なんて考えていたら後ろから腹黒王子の声が聞こえてきた。






「芹那さん、ちゃんと言ってくださいね」





「……っ、ダ……ダー、リ……ン、あーん」





「……あーん」






私が声を発すると開かれる桃也の口。
その中に思いっきり卵焼きを放り込む。