そして、悪魔の笑みを浮かべて私たちにとどめを刺す腹黒王子。
「「…………」」
私と憂は同時に自分の手の中にあるあからさまに二段構成のお弁当箱に目を向ける。
青は盛大に溜息を吐いて、桃也は目を丸くしたあと苦笑を浮かべていた。
「私の知るパートナーと変わってるんですけど、何かあったんですかね?」
「…………」
腹黒王子の問いに憂は顔を赤くして俯く。
そんな憂を見逃さなかった腹黒王子。
「理由はどうあれ、自分のパートナーに愛想を尽かされるなんて情けないですね。それでは、この晩婚化や離婚をする夫婦が多い世の中で生き残れませんよ?そんな不甲斐ない君達二人には三回お弁当を食べていただきますよ」
「……は、俺は違うし」
腹黒王子の言葉に青が即反論する。
「パートナーが変わってる時点で君も不甲斐ないんですよ」
腹黒王子の言葉に言葉を濁す青。
てかさ、"二人"ってとこに反応するより……"三回"に反応するべきじゃないのかな?
二段構成のぎっしり詰まってるこのお弁当を三回って……。
「三回ってどういうことですか、八王子先輩」
腹黒王子を睨んでる青じゃなくて、苦笑を浮かべている桃也が腹黒王子を見る。
「そのままの意味ですよ。ちゃんと相手は三人いますしね。まずは、佐藤くんからやって頂きましょうか。順番は、芹那さん、杜川くん、葉山さんで行きましょう」
「……は!?」
「……え?」
自分の名前が出て驚く青と、青の名前が出てきたことに驚く桃也。
「……ギャハハっ!頑張れや、青に桃也!」
そして空気を読まない笑い声。
「柊花、楽しみやな~」
「別に」
うるさい豹と相変わらずな柊花が大勢の人に混ざっていた。
さっきより人増えてない?
「全校生徒に見てもらいますからね。頑張ってくださいね、不甲斐ない人達」
王子スマイルを浮かべる腹黒王子に怒りを表情に顕にした青と桃也が腹黒王子に近寄る。
「俺はそっち系の趣味ないんだけど」
「青に食べさせてもらうのはちょっと……」
「クリアできなかった君たちに意見する権利なんかありませんよ。早くしてください」
そんな二人を王子スマイルで一刀両断する腹黒王子。