足音のバタバタがだんだん遠ざかって行くのがわかった。
後ろを通る足音が聞こえた時、体が少し強ばってしまったけど気付かれなかった。




「……行ったね」



足音が完璧に聞こえなくなってから、青が顔を離さないままそう言う。
顎を掴んでいた青の手がなくなったら、私は直ぐに顔を下に向けた。
もう、見てらんないし……。



「そうだね、離れてよ」



人が居なくなったわけでこんな密着してる意味はなくなったわけで、青の胸板を思いっ切り押すと離れるどころか逆に何故か背中に回っていた青の手に力が入って、私は押したはずの青の胸板に顔面を強打する。




なんで……??こいつは日本語が伝わらないんだろうか??
離れろって青に言ったら抱きしめろという意味になるのかな??



「……ちょっと、青。抱きしめろなんて誰も言ってない……」




「うん……でも、少しだけこのままでいて……」




「…………」















気付かなければ、青の手を振り払えたのに……なんで気付いちゃったんだろ。
背中に回ってる青の手が……震えている事に……。