「静かにね、芹那ちゃん……」
「……これは、何の冗談かな……青くん?」
角で引っ張られたかと思うとそこで青に抱きしめられて、前屈みになった青の顔……というか、唇がほんの少しでも動いたら当たってしまいそうな程近くにあった。
「あいつら撒くために、目立たないように顔を隠してる」
まぁ、この学園では目立たないかもしれないけど、行事中にキスなんかしてる奴なんていないでしょ。
「城崎さん、どこだよー!!行事中にイチャイチャしてんなよ、バカップルめ」
「杜川く~ん??行事中くらい控えてよね~もう!!」
「こっちにいないから、あっち探そうぜ」
「私、奥探してくる!!」
うわ~、まじで気付かれない……これ。
行事中に普通キスするやつなんていないから気付けよ、気付かれたくないけどさ……。
目の前の何故か色気を放ってる青の唇から目を逸らそうと下を向けば青の手に顎を掴まれて無理矢理にそれを見せられる。
「……まだ、ダメだよ」
この距離で喋んな、バカ。
走って逃げてる方がまだマシだな……これ。
てか、気付いたんだけど……青って香水つけてんのかな?
そう言うの興味無さそうだけどな。
青が近くに来る度に柑橘系の匂いがほのかに香る。
「………………」