「青と城崎さん、おはよう」
「芹那ちゃん……おはよう!!」
佐藤くんに抱き抱えられてる憂がいた。
憂って、青も苦手なんだっけ?
青の名前呼ばなかったし。
「おはよう、憂と佐藤くん!!」
「はよ」
朝から憂が見れるなんてラッキーだ。
嫌な事あったあとだから、更に嬉しさ倍増してる気がする……これ。
「おーっす!!桃也と青と憂と……クソ女!!」
「おはよ……」
後ろから聞こえてきたバカデカイ声のせいで私の嬉しさメーターは一気にマイナスになった。
「……あ?クソ豹なんか言った?」
「なんや、やるんか?女だからって容赦せぇへんで!!」
「上等……あ、青……離してくれますか?」
後ろを振り返って喧嘩を売ってきた豹の喧嘩を買おうと睨んでいたら青に掴まれた手が離れなくてリードを付けられた犬になった気分……。
青のほうを見るとニッコリと笑っていたけど、手を離してくれる気配が一切なかった。
「芹那ちゃん、豹とじゃれてる暇ないよ?もう、始まってるみたいだから」
「……え?」
辺りを見回すといつの間にかあちらこちらから男子生徒と女子生徒が走ってここに向かってきていた。
え、合図って……まだだよね?
「Sクラスのトップ見つけたぞ!!女子、男任せたぞ!!俺らは女子を!!」
「「「おー!!!」」」
目がギラギラし過ぎて怖いよ、この人達!!
これ、どうやって逃げるわけ?
「じゃあ、皆また後で」
憂を担いだままの佐藤くんは人を上手に躱しながら左側へと走って行った。
速いな……。
「なら、俺と柊花はあっちやな!!行くで、柊花!!」
「ん。あとでね、芹那」
佐藤くんたちが行ったのを確認すると柊花の手を握った豹が右側へと走り出す。
「じゃあ、俺らは真ん中だね」
真ん中!?
あんなに人がいるのにどうやって?
分裂したおかげで人が三等分されたけど、まだ結構な人はいる……。