「ねぇ、俺はそっち系じゃないから会長とこんな近くで睨み合っても吐き気しか起きないんだけど」



「奇遇ですね、私もですよ……杜川くん」




当人たちの間でも火花しか散ってなかったみたい。
椅子に座ったままボーっと二人を眺めていたら青が一瞬こっちを見て何かを思い出したように私の方に向き直る。




「……芹那ちゃん……殺菌しないと」




あれ、この流れ前にもあった気が……。




「……いたっ……いでで、青っ!!痛いっ!!」




青が前かがみになって顔を近付けてくるとジャージの裾を握った手が腹黒王子の唇が当たった場所をゴシゴシと拭いてくる。
これ、何気に痛いし……顔が近いっ!!



「杜川くんは、ロマンティックの欠片もないですね」



「言ってる意味わかんないし、もう行くから出てってよ会長」




絶対……赤くなった気がする、擦られ過ぎて……。
そう言うと青は私の腕を掴んで私を立たせると会長を残したまま寮を出て行く。



いいのかな……?
てか、こいつ長い脚を最大限に利用して歩くから連れて行かれてる私が辛い。





ホントに、腹黒王子と青って仲悪いよな……。





そんなことを考えながら歩いてるといきなり青の声が聞こえてきた。




「鬼ごっこ、会長は傍観者だから楽しんでるだけだよ……人を弄って」




「ぼ、傍観者……?」





生徒会長が傍観者って……まさか。
学園長が腹黒王子に怪我させたくなくて……学園長の特権っていうのを使ってるんじゃ……。





「うん、芹那ちゃんの考えてる通りだよ」