"チュッ"?
何の音……これは。
何か耳の近くで何かが触れた気が……。



無意識のうちに手は耳の近くに何かが触れた場所をおさえていて後ろを見るとニッコリと王子スマイルで微笑んでいる腹黒王子がいた。




「……会長、そろそろ怒るよ……俺」




なんか、怖い……すごく、青が怖いっ!!
顔は見てないけど、声の威圧感だけで怖い……。




「ハハッ、怖いですね。杜川くんが怖いから芹那さんが固まっていますよ?」




いや、待て……青も怖いけど私が固まってる理由はどう考えてもお前が原因だろ。
耳の近くおさえたまま固まってるわけだし。




「なわけないじゃん。会長のその汚い唇のせいだから」




座っていた青が立ち上がって私の所までくると私の首に抱きついてる腹黒王子を私から引き剥がす。





「……貴方の、唇はどうなんですか……杜川くん。十分、貴方も汚――」




「なんのこと。サッサと帰れば?」





青の耳もとで腹黒王子が何かを言っていたが、青も何かを言っていた。
その何かがわかんないけど。
全然、聞こえないし。




本当に……絵になりすぎてるこの二人。
そっち系が好きな女子がいたら大変だったろうな。
王子みたいにキラキラした綺麗な顔を持つ二人が自分の後ろで何を言い合ってるかは知らないけど、鼻が当たりそうな程近い距離で睨み合ってるなんて。





そういう人達の脳内だと、見つめ合ってるに変換されるんだろうな……。