静かな廊下ですすり泣く音
だけが響く。

病院に着きえりはすぐに、
担架に乗せられ重い扉の向
こうへと姿を消した。 

何時間がたったかさえわか
らないほどえりで頭がいっ
ぱいだった。そんな時に、
どこからか足音が聞こえた。

「えりさんの…」

短めの黒髪に映える白衣を
身にまとった看護師さんが
優しく俺に話しかけた。
…の後は彼氏だと思い、
「はい。」と答えた。看護師
さんは悲しそうな表情で俺
の目を見ていた。

「えりは…」

もう一度強く祈り問いかけ
た。すると何も言わずに、
ただ首を横に振った。