「じゃあ、英知くん。バイバイ、明日からはまた普通のクラスメートとしてよろしくね」
努めて、笑顔を作った。
「………うん」
複雑そうな英知くんの顔。
そんな顔、今日限りで、もうさせないから。
「あーあ、あかねが知ったらびっくりしちゃうかもなあ、ピュアな可愛い男子で通ってる英知くんの素顔を知っちゃったら」
わざと、意地悪く言ってみる。
「……言ったら、容赦しないから」
そんな可愛いらしくない言葉を言う。
この英知くんを知ってるのは、たぶんクラスで私だけ。
その事実だけで、もういいや。
「わあ、怖ーい。……じゃあ、またね。」
そう言って、私は歩き始めた。
公園の出口に差し掛かったとき、ふいに英知くんに呼ばれた。
「浅野さん!」
「……。」
振り返ると、
「こんなボクを好きになってくれて、ありがとね!」
そう、天使スマイルをくれた。
無邪気に手を振られる。
私も、思わずつられて振り返した。