「随分と友達思いなんだね」
側からそんな言葉が聞こえた。
「え……、英知くん?」
私が驚いて声の方に目を向けると、廊下の壁にもたれ掛かかった英知くんがいた。
どうやら一部始終を見られてしまったらしい。
「なんで……、帰らなかったの?」
てっきり、もう学校の外へ出てたと思ったのに……、
そう言うと、英知くんは少しばつの悪そうな顔をした。
「うん、浅野さんに話があるから」
もしかして、さっきのことを気にして……?
このまま気まずくなっちゃうのかな、と落ち込んでいた私が嘘のように少し嬉しい気持ちになる。